基礎知識 全般編

必ず最初にお読みください

  • このページでは外国人雇用に携わる方に最低限知っておいて頂きたい事柄をQAで記載しています。
  • イメージを掴んでいただきたいので説明は法律的な正確性よりイメージのしやすさを重視しています。
  • そのため詳細な規定や例外事由については大幅に省略していますので予めご了承の上で参考としてください。

全般編 質問

入管法ってなんですか?

正式には「出入国管理及び難民認定法」といいます。

時代にあわせて度々改正されています。

そもそもVISAってなに?

本来的には日本の在外公館が発給する「査証」の事です。

査証とはごくシンプルに言えば、その外国人が住む国にある日本の領事館等が「この人は上陸させてもよさそうですよ!」と「推薦」した事を証明するもので査証が発給されるとパスポート(旅券)に貼ってくれます。

なお、査証の発給は外務省の管轄となっています。

誰に対して推薦してるかと言うと出入国在留管理庁に対して「推薦」してるイメージですね。

査証免除措置により短期滞在の場合は査証を必要としない国があります。(韓国 台湾 タイ トルコ アメリカ等)

Q1.2で説明した通り、「VISA」と「在留資格・在留期間」は本来は全く別のモノです。
しかし、このウェブサイト上ではなじみ易さを優先して「在留資格・在留期間」の事も「VISA」と記載しています。

在留資格ってなに?

一言で言えば外国人が日本で適法に在留し活動するための免許証です。

「査証」が上陸するために必要に対し在留資格は「在留し活動するため」に必須となります。

現在は29類型が定められており、必ず一つの在留資格を有していなければいけません。(一在留一在留資格の原則)

どの在留資格となるのかはその外国人が日本で行う活動内容によって定められ同時に在留期間も決定されます。

上陸当初から3ヶ月を超える在留が予定される場合は「中長期在留者」として在留カードが交付され居住地市町村での住民登録義務が生じます。なお、外国人の在留については法務省 出入国在留管理庁(いわゆる入管)が管轄しています。

Q1.2で説明した通り、「VISA」と「在留資格・在留期間」は本来は全く別のモノです。
しかし、このウェブサイト上ではなじみ易さを優先して「在留資格・在留期間」の事も「VISA」と記載しています。

VISAには何があるの?

全部で29類型あります。

大きく分けると就労可能と就労不能のタイプがあり、更に就労する従事業務に「限定あり」と「限定なし」に分かれます。

このウエブサイトでは申請件数が多い「経営・管理」「技術人文知識国際業務」「企業内転勤」「介護」「技能」「技能実習」「特定技能」について説明しています。

就労可能 就労不能
従事業務に限定あり 従事業務に限定なし
外交 日本人の配偶者等 留学
公用 永住者 研修
教授 永住者の配偶者等 家族滞在
芸術 定住者 文化活動
宗教 特定活動
ただし、就労許可を受けている方のみ
短期滞在
報道

資格外活動許可を受けている
場合のみ例外的に就労可能

但し
①在留目的本来の活動を
妨げない範囲で
原則週28時間まで。

②風営法の適用を
受ける業種の従事は不可

短期滞在VISAには
資格外活動許可は
どんな場合でも許可されません。

高度専門職 全て地位に基づく
在留資格類型です。
法律会計
医療
研究
教育
興行
経営・管理
人文知識・国際業務
企業内転勤
介護
技能
技能実習(イ・ロ1号2号3号)
特定技能(1号2号)

在留期間は何年ですか?

4月 6月 1年 3年 5年と区切られており審査の上で決定されます。

基本的には「1年」からスタートし、在留状況が良好で実績を重ねれば3年、5年とステップアップしていきます。

反面、在留状況が不良であったり、許可されているVISAに定められた活動(業務内容)を今後も引き続き行うかについて様子見が必要と判断されれば逆戻りする事もあります。

そもそもVISAに定められている活動(業務内容)を行っていない(行う見込みがない)、と判断されれば申請が不許可処分となりそのままでは在留できなくなります。

VISA審査の考え方

VISA審査を理解するためには在留資格該当性上陸許可基準という考え方が重要となります。

VISA審査の上で最も重要であり、まずこの二つをクリアしないと他の要件がクリアできていてもVISA許可を受ける事ができません。

在留資格該当性とは?

端的に言えば現に有してる(又は、許可を受けようする)VISAに定められた活動内容と、現に行っている(行おうとする)活動が一致しているか?と言う事です。
大前提として在留を希望する外国人は必ず1つのVISAを持っていなくてはいけません。(なお、VISAは一人1つしか持てません。)
そしてVISAは外国人が日本で行う活動内容(業務内容)によって29類型に分かれています。
逆に言えばVISA毎に業務内容の範囲が予め定められているため、原則としてVISA毎に定められている業務内容しか従事する事は出来ず、現に有している(又は、許可を受けようとする)VISAと、現に行っている(又は、来日後に行おうとする)活動は常に一致していなければいけません。

上陸基準適合性とは?

在留資格該当性によって定められた活動を行うために必要な素養、つまり学歴や経験、免許、財産等を有しており、また、雇用する会社側もその体制が整っているか?と言う事です。
VISAによって求められる基準は異なります。
(具体的にはVISA詳細のページで説明します。)

VISAがあればどんな活動でもできますか?

許可を受けたVISAに定められている活動を行う事ができます。
例えば技能VISAであれば代表的な業務内容は外国料理の調理師です。

VISAを持っていても定められている活動を行っていない場合や行っていても在留資格を継続するのに必要な要件を満たさなくなった場合は在留期間が更新できなくなったりVISAの取消処分を受ける場合があります。

どんな仕事にも従事できるVISAはないのです?

永住者VISA、日本人の配偶等VISA、定住者VISAの外国人には活動内容(業務内容)の制限はありません。
これらのVISAは地位に基づいてVISAが許可されているため地位系VISAと呼ばれます。

また、資格外活動許可を受けた留学生等も風営法の適用を受ける職種を除き、どんな仕事にも従事できます。(但し、原則週28時間まで)
(*特定活動VISAを持っている方で就労を許可されている方も働く事ができます。)

日本人の配偶者等とは日本人の夫、妻又は実子を指します。 定住者とは主に日系2.3.4世、日本人の実子を養育する母、日本人と離婚後も在留を認められた方を指します。 永住者とは永住を許可された方です。

地位系VISAに対し、このウエブサイトで説明している経営管理VISA、技術人文知識国際業務VISA、技能VISA、企業内転勤VISA、技能実習VISA、特定技能VISA等は就労系VISAと呼ばれ、活動内容(業務内容)に基づいてVISAが許可されます。

今持っている在留資格を変更する事はできますか?

各VISA毎に定められた基準をクリアすればできます。
例えば、留学VISA保有者が就職により技術人文知識国際業務VISA等に変更する場合です。

また、転職により現在有しているVISAと、今後行おうとする活動内容(業務内容)が大きく違う場合は転職前に在留資格変更申請を行う必要があります。

逆に現在有しているVISAで定められている活動内容(業務内容)と、今後従事する活動内容(業務内容)が同じVISAで定められてた活動範囲内(業務範囲内)であれば在留資格変更許可申請を行う必要はありませんが、この場合でも入社後14日以内に 「所属機関に関する届出」又は「契約機関に関する届出」を入管に届出しなくてはいけません。

転職前
現有
VISA
技術人文知識国際業務
業務内容
(例えば)通訳
転職後の仕事内容
同じく通訳
技術人文知識国際業務
VISAに該当しない
仕事に就く
就労開始後届出のみで
OK
期間満了前に在留期間
更新許可申請する。
在留資格変更許可後に
従事可能
従事開始後届出必要

転職後の仕事内容が現に有しているVISAで定められている活動の範囲内(業務の範囲内)に合致するかを判断できない場合は、内定前に地方入管に確認するか弁護士、行政書士に相談しましょう。

外国から呼寄せる場合の手続きはどのようになりますか?

海外から呼寄せる場合

手続き 在留資格認定証明書交付申請
申請先 勤務地を管轄する地方入管
申請者 雇用先事業主

申請から結果を受領するまで大体2ヶ月ですが長引く事も多々あります。
(目安となる標準処理期間は3カ月です。)

手続き 査証の申請
申請先 大使館、領事館
申請者 外国人本人

在留資格認定証明書を外国人本人に送り本国で査証申請します。
問題がなければ申請から2週間程度で査証が発給されます。
査証発給が不許可となった場合は当然上陸する事もできません。(①に戻ってやり直し。)
国によっては大使館、領事館が指定する旅行代理店でのみ査証申請を受付けています。

手続き 上陸審査
申請先 到着空港の入管
申請者 外国人本人

査証発給を受けたらチケットを予約します。(必ず査証発給後に予約してください。)
到着空港の入管で口頭での審査を受け、特に問題なければゲートをくぐり上陸します。

上陸

上陸後、2週間以内に居住地の市町村で住民登録してください。

雇用する外国人の本国法により、①又は②の前後に本国での手続きが必要となる場合があります。
例えばフィリピンの場合、①の前にフィリピン海外雇用庁に対し雇用会社が「フィリピン人を雇用する許可」を受け、②の前後に外国人本人がフィリピンで「海外で就労するための手続き」をしなくてはなりません。
外国人を雇用する際はこれらの手続きも含めて計画を立てましょう。サポートしてくれる会社もあります。

国内に居住する外国人を雇う場合はどのような手続きになりますか?

手続き 在留資格変更許可申請
申請先 住所地又は勤務地を管轄する地方入管
申請者 外国人本人
変更許可後に就労開始
就業開始後14日以内に届出

又は

手続き 在留期間更新許可申請
申請先 住所地又は勤務地を管轄する地方入管
申請者 外国人本人
就業開始後14日以内に届出

雇用する外国人の本国法により、就業開始前に本国での手続きが必要となる場合があります。
例えばフィリピンの場合、フィリピン海外雇用庁(POEA)に対し雇用会社が「フィリピン人を雇用する許可」を
受け外国人本人がフィリピンで「海外で就労するための手続き」をしなくてはなりません。
外国人を雇用する際はこれらの手続きも含めて計画を立てましょう。これらの手続きをサポートしてくれる会社もあります。

留学生をアルバイトで雇用する際に気を付ける点はなんですか?何時間就業できますか?

留学生がアルバイトを行うには資格外活動許可を得ている必要があります。
パスポートに資格外活動許可書がついているか?在留カード裏面に「資格外活動許可」の記載があるかを必ず確認してください。
就業時間数は原則として週28時間以内です。(夏季休暇等の長期休暇期間は除く)
気をつけなくてはならないのは留学生がダブルワークをしていた場合で他でアルバイトをしていた時間数も合わせて週28時間以内となってしまう点です。
もし28時間をオーバーしていた場合は雇用主も不法就労助長罪等に該当する場合があります。

留学生から言ってくれないとわからない事かもしれませんが、留学VISA更新許可申請時に入管でチェックを行うため必ず判明します。
違反していた場合は留学VISAが取り消されたり更新できなくなったり、卒業後、就職のためにVISA変更許可申請を行う際には重大な不利益要素として取り扱われます。

在籍する教育機関が定める長期休暇期間中は1日8時間の就労が可能です。
またこの期間中は週28時間の上限制限も受けません。

外国人社員が一時帰国する場合に気を付ける事はなんですか?

一時的な帰国の際は「再入国許可」又は「みなし再入国許可」となります。
出国予定期間と現に有するVISAの在留期限を考えてどちらかの許可を受けましょう。
手続きをしないで出国するとVISAは直ちに失効しますから必ず手続きしましょう。

再入国許可 有効期間 在留期限満了日までで最長5年まで
手続き 住所地を管轄する地方入管
みなし再入国許可 有効期間 在留期限満了日までで最長1年まで
手続き 出国空港の入管カウンター

出国期間中に在留期限を過ぎた場合もVISAが失効してしまいますから気をつけましょう!

どんな時にVISAが取消になりますか?

法22条の4に定められていますがここでは代表的な例を挙げます。

  • 偽りその他不正な手段によりVISAの許可を得た時
  • 事実ではない資料を提出してVISAの許可を得た時
  • 正当な理由なく許可されたVISAに定められた活動ではなく他の活動をメインに行っている時(行おうとしている時)
  • 就労系VISAで在留している者が正当な理由なく3カ月以上の期間、定められた活動を行っていない時
  • 正当な理由なく住所地の届出を行っていない時 虚偽の住所地を届出した時

等です。

なお、取消処分が行われようとする時は入国審査官によるインタビューが行われその上で判断がされます。

どんな者が国外退去(退去強制)になりますか?

入管法第24条に定められていますがここでは代表的な例を挙げます。

  • 不法入国者 不法上陸者及びそれを助けた者
  • VISAを取消された者
  • VISAの許可を受けるために書類などを偽造、変造し提出した者及びこれを助けた者
  • 不法就労活動等をさせたり斡旋した者
  • 在留カードの偽造変造を行った者 行使の目的で偽変造された在留カードを所持する者
  • 専従資格外活動者
  • 不法残留者
  • 人身取引の加害者
  • 無期又は1年以上の懲役又は禁固に処せられた者
  • 売春又はその周旋、場所の提供等に従事する者

等です。

どんな時に不法就労や資格外活動となりますか?

現に有しているVISAでは認められていない(許可されていない)業務をした時及びその範囲を超えて仕事した時です。 VISAを持っていないのならそもそも在留自体が既に違法です。
また、例えば外国料理の調理師として技能VISAを持っている外国人が転職により全く他の職種の業務に従事した場合も該当します。

更に、例えば建築系エンジニア(設計士等)として技術人文知識国際業務VISAを持っている外国人が、実は現場作業員レベルの仕事にしか従事してなかった場合も該当する事となります。
一方で、仕事の合間に日本語学校へ通学する、趣味の習い事に行く等の経済的利益を求めない活動は、本来の在留の目的を妨げない程度であれば自由に行う事ができます。

留学生等が資格外活動許可を得ていても週28時間を超えると資格外活動違反となります。
(夏季休暇などの長期休暇期間は除く)

不法就労や資格外活動となる外国人を雇用した場合、雇用主に罰則はありますか?

不法就労助長罪となり3年以下の懲役300万円以下の罰金が定められています。
雇用主には採用時に雇用する外国人がその業務に従事が出来るかを在留カードで確認する義務が課されており、
あとになって知らなかったでは済まされません。

違反した場合は入管法による罰則はもちろん、現在お持ちの営業許認可にも影響を及ぼします。
罰則を受けて許認可の欠格事由に該当することになれば、許可が取り消されたり更新できなくなる可能性が生じるからです。
そんなことになれば損害は計り知れません・・・・。